List of Ethical Drugs 2011.8
医療機関や製薬企業の皆様にご愛顧いただいているロングセラー商品「保険薬事典」を編集し続けて,弊社もとうとう30歳になりました。三十路を歩むにあたって,弊社では「創立30周年記念企画」と銘うち,様々な企画を打ち出していたのです。

1万ダウンロード(!)を達成したiPhone用無料アプリ「薬イズ」を皮切りに,これまでの20年分の薬価推移を一冊の本にした通称「薬価アーカイブス」,過去48年間に出版された保険薬事典77冊をCD-ROM20巻にまとめた「保険薬事典バックナンバーCD-ROM」。どれもこれも医療関係者・医薬品業界の人間たちの医薬品に対する情熱(マニア心とも言う)をくすぐる,弊社しか作れない(あるいは作りたがらない)商品ばかり!

おかげさまで多くの皆様にご購入いただき,作った甲斐がありました。ありがとうございます!

そこで調子に乗って,第4弾として英語版の医療用医薬品リストも作ってしまいました。

その名も

「List of Japanese Ethical Drugs」

こちらは日本の医療用医薬品を添付文書やインタビューフォームを元に英名に整理し,「保険薬事典」と同じように,薬効分類ごとに製品を分類し,一般名ごとに薬価の高いものから低いものへと並べているので,薬価差も一目でわかります。

他の業界と同じく,グローバル化が加速する医薬品業界で働く人にとって,英語を使う機会はますます増えていき,我々日本人の悩みは増すばかりなのです。

外資系製薬企業に勤めている方なら,英語で日本の医薬品のことを説明しなければならないこともあるのでは?

はたまた,国内製薬メーカーに勤めていても,海外の研究所や工場とのやり取りは全て英語のハズ。

解熱鎮痛って英語で一体なんと言うの?
簡単なことかも知れないけど「顆粒」ってなんと言うの?
この薬の商品名,英語ではどう書くのかしら?

悩みは尽きないでしょう。メールを一つ書くのも,悩みに悩んで「疲れたから明日にしよう」なんてことにもなりかねないのです。

しかし,これらの悩みだって,ただ「保険薬事典」が英語でさえあれば,簡単に調べられることであるはずなのです。こんなことで時間と労力を取られてしまうのはもったいない!

医薬品にまつわる基本情報だけでも英語でまとめている本があれば・・・そう思っている皆様のために作ったのがこの
「List of Japanese Ethical Drugs」なのです。

実験本として生薬・漢方の個々の品目掲載を割愛したり(局方に収載される生薬英語名や漢方処方名のローマ字表記一覧を付録に掲載しています)と,保険薬事典そのままというわけにはいきませんでしたが,薬価基準上の局方や経過措置マークなどはきっちり対応しています。

国内外の各製薬企業の皆様,薬学系教育機関の皆様,はたまた調査会社やコンサルタントの皆様・・・
いろいろな業種の方々からのご注文,お待ちしております。
(弊社直売です。詳細はこちらへどうぞ)
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
http://www.iyaku.info/ani/eng.html
「医情研ブログ」制作委員会 | - | 10:58 | - | - |
抗凝固薬が今熱い!
 2011年3月に日本ベーリンガーインゲルハイムから発売されたプラザキサ(一般名:ダビガトランエテキシラート)は,ワルファリンカリウム(ワーファリン他)に代わる新薬として注目を集めています。

 ワルファリンカリウムはワーファリンが1978年に薬価収載されて以後,長く使われてきた抗凝固薬ですが,投与量や投与回数を決めるためにプロトロンビン時間の測定やトロンボテストと呼ばれる血液凝固能検査を行う必要があり,食事や併用薬などの影響を受けやすいなどの理由で定期的なモニタリングを行う必要がある薬です。他にも,ワルファリンカリウムはビタミンK依存性の凝固因子の生合成を阻害することで抗凝固作用を表すため,ビタミンKが多く含まれる納豆や青汁などの食材と一緒に摂取すると,凝固作用が弱まってしまいます。納豆好きの患者さんにとって納豆を思う存分食べられない生活というのはつらいですよね。その他,併用に注意しなければならない薬も多く,服用するためには様々な注意を払わなければならないのです。

 しかし,新しく発売されたプラザキサにはそういった制約がありません。プラザキサはトロンビンの活性を直接的に阻害するため,ビタミンK含有の食物の摂取制限もなく,また食事の影響を受けにくいため,プロトロンビン時間などの定期的なモニタリングが必要ありません。その他,多くの薬物の代謝に関わっているチトクロームP450による代謝を受けないため,ワルファリンに比べると気をつけなければならない併用薬が少ないのです。適応はワルファリンほど幅広く認められているわけではなく,消化不良などの副作用も見られますが,ワルファリンより使いやすい新薬として,今注目を集めています。

 抗凝固薬の新薬は今後も続きます。

2011年3月に承認申請を行った抗凝固薬の新薬です。1日1回の経口投与で,定期的なモニタリングが必要ないなど,ワルファリンにはない扱いやすさがあります。バイエルはリバロキサバンについて,ピーク時には全世界で年間売上高20億ユーロ以上の大型商品になる,と期待しています。日本で今回申請した適応症は「心房細動患者における脳卒中予防(SPAF)」ですが,その他「急性内科疾患により入院した患者における急性血栓塞栓症の発症抑制」(現在フェーズ3)などの効能について治験を行っています。

 第一三共は「リクシアナ錠15mg」「同錠30mg」(一般名:エドキサバントシル酸塩水和物)について2011年4月に承認を取得しています。こちらも大型製品化を見込んでおり,申請した適応症「膝関節全置換術,股関節全置換術,股関節骨折手術を施行された患者における静脈血栓塞栓症(VTE)の発症抑制」以外にも「心房細動に伴う心原性脳梗塞の予防」(現在フェーズ3)などのさまざまな適応について治験を行っており,適応拡大をめざしています。他にファイザーとブリストル・マイヤーズが抗Xa剤アピキサバンを共同開発するなど,ワルファリンに代わる抗凝固薬をめぐって,国内外の各社が激しい開発競争を繰り広げているのです。
「医情研ブログ」制作委員会 | 新薬開発 | 11:38 | - | - |
関節リウマチの新薬
関節リウマチとは、リンパ球やマクロファージが産生する炎症性サイトカイン(IL−6、TNFαなど)が、関節内に痛みや腫れを引き起こし、関節内に炎症が起こり、痛みや腫れが現れ、進行すると関節の軟骨や骨が破壊される疾患です。

 日本の関節リウマチの患者さんは70〜100万人ほどいるといわれ、30〜40歳代で発症する人が多いのが特徴です。また男女比は1対3〜4で男性より女性のほうが多く発病します。

 これまで関節リウマチは進行が遅い病気と考えられてきました。そのため治療では、まず痛みや腫脹を抑えるため、非ステロイド性鎮痛消炎剤(NSAIDs)を投与することから始まり、進行すればより強力な薬剤であるステロイド剤、抗リウマチ剤などを投与する方法が取られていました。

 しかし、その後、関節破壊は2〜3年のうちに進むことが知られてきたため、1990年代からは、なるべく治療の早い段階からメトトレキサートを中心とした抗リウマチ剤の投与を始め、必要があれば生物学的製剤を投与する「攻め」の治療が一般的になってきました。

メトトレキサートは、これまでは他の抗リウマチ剤で無効の場合にのみ使用が限られ、投与量の上限が週に8mgまでという制約がありましたが、2011年2月に初期治療から使えるようになり、週に16mgまで増量することが可能になりました。欧米では関節リウマチ治療の第一選択薬とされています。

 関節リウマチ治療薬には、現在様々な薬が治験の段階にあります。その中から、いくつかご紹介すると・・・
 
 皮下注射剤では、抗ヒトTNF-αモノクローナル抗体製剤のゴリムマブが、現在申請中です。この薬は、米国やカナダではメトトレキサートとの併用することで、中等度〜重度の関節リウマチに使用されています。同じ抗ヒトTNF-αモノクローナル抗体製剤のセルトリズマブペゴルは、同抗体をPEG化することで半減期を延長させた製剤で、現在フェーズ2/3の段階にあります。

 しかし、注射剤は患者さんにとって使いにくい面もあり、コンプライアンスが低下するという面もあります。では、経口剤はどうなっているのかというと・・・

 疾患修飾型抗リウマチ剤(DMARDs)のイグラチモドという薬が、現在フェーズ3の段階にあります。作用機序は明確にはわかりませんが、関節液中などのTNF-αやIL-6などの炎症性サイトカイン濃度の低下をもたらすことがわかっています。さらにイグラチモドはメトトレキサートを含めた他のDMARDs無効患者にも効果があるとされています。

 これまで関節リウマチに使われていたNSAIDsやステロイド剤は、リウマチの原因を取り除く根本療法は期待できませんでした。しかし、開発中のものも含め、生物学的製剤は関節破壊の進行を抑制することが可能だとされています。ただし、生物学的製剤はどれも高価で、患者さんは長期にわたり一ヵ月に4〜5万円の負担をしなければならないともいわれています。新薬が登場して、治療法が増えるのはうれしいことですが、次は安価な生物学的製剤ができることを期待したいですね。
「医情研ブログ」制作委員会 | 新薬開発 | 11:22 | - | - |
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